ダイエットの方法、考え方には諸説ありますが、この連載では、健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサーであり、日本ダイエット健康協会代表理事として『「食べる」だけダイエット』(マガジンハウス)などの著書もある古谷暢基さんに、ダイエットに関する最新の考え方、ノウハウを紹介していただきます。
前回までは基礎編として、少々難しい話が多かったですが、今回はその基礎編を踏まえながら、実際の生活にありうるケースを考えながら、より実践的なダイエットを考えていきましょう。
ダイエット、美容面ともにあまりオススメできませんが(笑)、どうしても女性が好きなお菓子についてです。
では、まず次の問題について考えみてください。
問題 コンビニなどで定番の人気お菓子、どちらが太りやすい?
(A)グミ(果物ではなくお菓子の方)。
(B)チョコレート。
答えは・・・・・
答え: (A)グミ
ここでのポイントは、カロリーのPFCバランス(=炭水化物、タンパク質、脂質のバランス)、および血糖値の上昇度(GI値)とインスリンです。
この2つのお菓子の代表的なものとしてM社の商品を例に挙げると、PFCバランスは以下となります。
グミの主成分である水飴は、白砂糖が入ってくる前の日本の伝統の甘味料であり、米類の食材の中ではGI値が最も高いモチ米と、麦芽糖を絞って作られたものです。
主成分の麦芽糖は、全食品の中で最もGI値が高い白砂糖並みの血糖値アップ力を持ちます。さらにグミのPFCの構成を見てお分かりの通り、食品全体のGI値を下げる役割の脂質はゼロ、タンパク質も少なく、よって食品としてのグミは「体脂肪製造」の命令を出すインスリンの過剰分泌を非常に促しやすいといえます。
水飴は同時に、舌で感じる甘みも少ないので、多めに使われる傾向もあります。
また、グミはエネルギー吸収に大変優れているという観点から、大学の駅伝などのスポーツ競技中のエネルギー補給に使われたり、水飴を乾燥させたものは「膠飴(こうい)」という滋養強壮の漢方薬にもなっています。
対してチョコレートは、同分量のグミに比較してカロリーは多いですが、PFCバランスにおける糖分の量はグミの約半分、さらにそれをコーティングして吸収を抑える脂質、タンパク質が多く、食物繊維も含んでいることが分かります。
よって、もちろん食べ過ぎはタブーですが、血糖値が上がりにくく、グミに比べて太りにくいと言えるでしょう。
なおかつ、チョコレートにはポリフェノール類、デオプロミン、カフェインといった原料植物に含まれる成分が残っており、そのダイエット・美容効果も期待できるといえるでしょう。
ちなみに、以前私が出演した日本テレビの人気番組「ベストハウス123」では、チョコレートが大好きでたまらないアメリカ人の超肥満男性が、食前にチョコレートを食べることによって、115kgの減量に成功した例を解説しました。
このケースでは、チョコレートという食材そのもののダイエット効果というよりは、大好物であり、かつ脂質分と糖分が主成分のチョコレートを食事の10分ほど前に摂ることにより、血糖値上昇と満腹感(満足感)から食事の食べ過ぎを防いだ結果といえます。
最近よく知られるようになった「食べる順番ダイエット」では、炭水化物食材を一番あとに持ってくることでインスリンの過剰分泌を防ぎますが、このように逆に食前に血糖値を上げるものを少量食べて、食欲を減らす方法も有効なケースはあるでしょう。
※記事中に出てくる問題は、日本ダイエット健康協会が実施している「ダイエット検定」より紹介しています。