ダイエットの方法、考え方には諸説ありますが、この連載では、健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサーであり、日本ダイエット健康協会代表理事として『「食べる」だけダイエット』(マガジンハウス)などの著書もある古谷暢基さんに、ダイエットに関する最新の考え方、ノウハウを紹介していただきます。
こんにちは。古谷です。皆さんはレストランなどでメニューを選ぶ時に、○○パスタと○○定食では、カロリーが定食の方が多いからパスタにするとか、そんな選び方をしていると思います。だけど、カロリーには何種類かあって、役割や“体脂肪になりやすさ”が違います。さらに、食べる順番・食べ合わせ・食べる時間などで、体脂肪に変換される率も変わってしまうのです! 今日はそのうち、カロリーの種類について勉強をしてみましょう。
まずは下記の問題についてお考えください。
【問題1】 1週間毎日、コップで一気飲みするとしたら、どちらが太る?
(A)サラダオイル 1/3カップ(約500kcal分)
(B)黒砂糖1/2カップ分を溶かした水(約400kcal分) 100kcal
【問題2】 同じ100kcal、どちらが太りやすい?
(A)コーラ 100kcal
(B)イカの刺身 100kacl
答えは・・・
問題1 (B)
問題2 (A)
でした。
“体脂肪になる栄養素”は3つだけ。それは「炭水化物(糖質)」、「タンパク質」、「脂質」です。言い換えれば、カロリーを持つ栄養素は3種類あり、これが「三大栄養素」と呼ばれるものです。
このうちタンパク質は、お肌・筋肉・血液・髪の毛、そして酵素、ホルモン、消化液など、身体のあらゆる構成要素になるとても重要な栄養素。摂り過ぎると体脂肪に変わることもありますが、生理活性を高めるためにダイエット中もきちんと摂取すべきでしょう。
次に、世間の常識では“ダイエットの怨敵”のようにいわれる脂質ですが、ここに面白い実験があります。大学生たちに1/2カップ(約100cc)のオリーブオイルを2週間、毎日一気飲みさせたあと、体脂肪率および体重を測ったのですが、両方とも有意に増えた人が一人もいなかったのです。
実は最近の研究では、食べ物由来の脂質の80%以上が体脂肪にならず、排出されるか、60兆個以上あると言われている細胞膜や、ステロイドホルモン(女性ホルモンなど)の原料になることが分かっています。
体脂肪の主な原料は、炭水化物が変化したもの。すなわちダイエット中は、この炭水化物の摂り方に気を使うべきです。
例えば、同じ100kcalでもイカはほぼ100%タンパク質、バターは脂質100%、コーラが糖質100%となります。この場合は、エネルギーや栄養がほぼ糖で構成されるコーラが一番太りやすいということになります。
カロリーは同じでも、その構成栄養素は食品や食材によって変わり、体脂肪になりやすさも変わってきます。またカロリー数値のみにこだわれば、身体が求める栄養素をきちんと摂れなくなったりもします。
私が代表理事を務める日本ダイエット健康協会では、カロリーの種類と役割を意識しながら、食べ方やメニューを考える方法を、「PFCダイエット(P=Protein:たんぱく質、F=Fat:脂質、C=Carbonate:炭水化物)」と呼んでいます。皆さんも普段の食事で、カロリーの数値だけでなく、もっと「PFC」を意識してはいかがでしょうか。
※記事中に出てくる問題は、日本ダイエット健康協会が実施している「ダイエット検定」より紹介しています。
Profile
古谷暢基(ふるや・まさき)
健康・美容・医療ジャーナリスト/プロデューサー、医事評論家、格闘技ジム会長
本や雑誌の著者、講演、講師などとして活動する一方、同時にルーシーダットンの代表取締役として、数々の健康・美容ビジネスを仕掛ける。日本ダイエット健康協会代表理事、和ハーブ協会理事長。ダイエット・予防医学のスタンダード知識を発信する検定・資格「ダイエット検定」の受験者数は1万人を突破。著書に『「食べる」だけダイエット』(マガジンハウス)など。