ダイエットの定番といえば食事制限だ。最近でも、空腹になると発動する「サーチュイン遺伝子」が話題になるのにともなって一日一食がもてはやされたり、低炭水化物、低糖質、単品ダイエットなど新たな制限方法が次々と生まれている。
雑誌やテレビで活躍するモデルはみな細く、そうした身体を手に入れたいという欲は深まるばかり。
しかし、これらのダイエットに対して“健康”という点から警鐘を鳴らす人がいる。医学博士で高須クリニック院長の高須克弥さんだ。
高須さんの著書『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社/刊)では、「やせ=健康的、小太り=不健康的」というイメージを覆し、巷にはびこる食事制限系ダイエットの危険性や健康的に毎日を送る方法について述べられている。ここでは今、流行している代表的な3つの食事制限ダイエットの危険性について紹介する。
■1日1食ダイエット
「単食ダイエット」とも言われるダイエット法だが、リスクとしてあげられるのが糖尿病になる危険性が増すということ。空腹時になると血糖値が低くなり、 脳からブドウ糖を補給せよという指令が出る。その状態で甘いものやご飯、パンを食べると、血糖値が急上昇し、それを正常化するために多量のインシュリンを 分泌した膵臓に大きな負担がかかるという。膵臓に負荷をかけないようにするためには、三食規則正しく食べることが大切だ。そもそも、冒頭のサーチュイン遺 伝子もデータの取り方に問題があったと指摘され、発見者もそれを認めているそうなのだ。
■単品ダイエット
「こんにゃくだけ」「リンゴだけ」「トマトだけ」。その食品以外絶対に食べないというのが単品ダイエットの特徴だ。実践すると一時的に体重が減るので「効いた」と錯覚してしまいがちだが、高須さんいわく単に栄養失調に陥っているだけだという。
カロリー不足で偏った食生活を続けると、タンパク・エネルギー栄養失調にかかりやすくなる。そして、その栄養失調から回復するときには、必ずリバウンド現象が起こるのだ。
■低炭水化物ダイエット
「糖質カット」「糖質オフ」という言葉はすっかり耳慣れたし、炭水化物を摂らないダイエットもスタンダード化している。しかし、そもそも日本人の主食は 「ご飯」であり、大昔からアワやヒエ、キビなど炭水化物が中心の食生活を送ってきた。そのため、日本人は穀物(炭水化物)中心の食生活に適応した栄養吸収 のかたちを受け継いでいるという。
また、糖質は脳のエネルギーになるため、糖質不足によって考える力が失われてしまうほか、身体から甘酸っぱい悪臭(ダイエット臭という)が発生すること もある。さらに、長い期間このダイエットを続けていると、気分の落ち込みや不安を感じることが多くなるという研究結果も存在する。
このように瞬間的にやせはするけれども、健康面では害だらけで、なおかつすぐにリバウンドしてしまうというのが、巷のダイエットの真実なのだ。では、どうすればいいのだろうか?
高須さんはまず「やせる体質になりたいなら食べろ」と言う。エッ?それでいいの?と驚く人も多いだろう。ただし、運動もしっかりとすること。よく食べて、よく動く。それこそがダイエットの基本なのだ。
本書では健康に生きていくための食生活の指南がつづられており、「禁酒は死亡率を高める」「ビールは栄養の宝庫」「甘いものを食べてやせる」など目からウロコの健康情報も満載だ。
日々の生活は「健康な身体」があってこそ。ダイエットする前に読んでみると、いろいろ考えさせられることの多い一冊だ。
(新刊JP編集部)