パキスタン・ラホール(CNN) ウエスト40インチ(約100センチ)以下の目標を達成できなければ、降格や解雇が待っている――。パキスタン北東部パンジャブ州の警官らは今、危機感に駆り立てられて運動に励んでいる。
パンジャブ州の警察当局は最近、州内17万5000人の警官に減量を命じた。同州は今年中に、最新の設備を備えた警察署を40カ所に開設する予定。そこに勤務するのにふさわしい壮健な警官が不足しているとの理由からだ。
過激派が都市部にも勢力を広げるなか、最前線で対応できる人員の確保は急務となっている。警官全員にウエスト40インチという基準が言い渡された。州警察トップによる抜き打ち検査も実施されるという。
州都ラホールの警察本部では、元レスリング選手のトレーナーが雇われた。その指導の下、警官らはジムでのウエートトレーニングから屋外運動場でのエアロビクスまで、2時間の運動メニューに汗を流す。
「目標のウエストまであと5センチ」と話すムハンマド・アザドさんにとっても、減量は死活問題だ。妻と2人の子どもたちのために月額約1万6000 円の給与を失うわけにはいかない。「これは職務命令だ」と、ランニングに毎日1時間を費やす。運動は20年ぶりというアザドさんのフォームは決して完璧と はいえず、使えるのはさびついた旧式のエクササイズマシンだが、「求められたことは必ずやり遂げてみせる」と、固い意志を示している。