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掲載日:2012.01.26   

カテゴリー:ニュース

高脂肪食で太るほど食欲が抑えられない理由

ダイエットが長続きしない。太れば太るほど食欲に勝てなくなる。その原因の一つに、肥満が直接脳に与える悪影響が疑われている。

 米ワシントン大学の研究者によると、脂肪の割合が高い食事を与えられたマウスやラットでは、1~3日以内に脳の視床下部(食欲などをコントロールする部位)が炎症を起こし、それによる神経の損傷が認められたと、1月3日発行の米医学誌「Journal of Clinical Invedtigation」に発表した。この神経損傷が食欲を刺激し、さらに高脂肪食を求める悪循環を生み出すというのである。

 研究では、カロリーの60%が脂肪に由来する高脂肪食(通常食の約2倍)をラットとマウスに食べたいだけ食べさせた。すると、食事開始後24時間以内に、視床下部でさまざまな炎症マーカー(炎症や組織障害によって変動する体内の物質)が増え始め、1週間以内には炎症による損傷も検出された。この炎症は1週間ほどで治まるが、その後も高脂肪食を与え続けると、1カ月後に再発し、その後約8カ月の実験終了時も治らなかったという。

 脳の視床下部は食欲やエネルギー代謝を制御しており、肥満になると炎症を起こし、食欲や体重のさらなる増加の原因となることは、ラットやマウスの実験ですでに知られていた。しかし、高脂肪食を食べた後、これほど早い時点で炎症反応が起こることは、わかっていなかったらしい。

 これにより、肥満による脳へのダメージは、高脂肪食の最初の一食ですでに始まり、それが食欲を刺激する呼び水となり、また、大量の高脂肪食を食べてしまうという悪循環を生むと考えられる。つまり、脂肪の高い食事は、食べ始めたら止まらないというわけである。

 では、人間においてはどうなのか。これについて、34人の被験者を対象に調べたところ、肥満度が高い人ほど視床下部の炎症性神経損傷が認められたと、同研究チームは報告している。一度太ってしまうとなかなかやせられないというのは、視床下部の炎症に原因があるということが、ヒトの場合でも当てはまりそうだ。

掲載日:2012.01.26   

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