映画「NANA」の原作者としても知られる矢沢あい。彼女のもうひとつの代表作であり、1999年から2003年まで連載され、熱狂的なファンを生み出してきた「Paradise Kiss」。過去にはアニメ化もされている、世界中の女の子の絶大な支持を得る同作がついに実写映画化された。
有名進学校に通い、ただ漠然と受験勉強をしていた毎日から、デザイナーを目指す天才肌のジョージらに出会ったことで、開花していく主人公の紫(ゆかり)を演じきった北川景子を直撃した。
夢を追う若者を描く青春モノでありつつ、やはり本作の重要なテーマはファッション。クランクイン前、新城監督からは次のような注文を受けたという。「有名な漫画が原作でプレッシャーはあると思うけれども、自分なりの紫を演じてくれればいい。ただ『プラダを着た悪魔』や『セックス・アンド・ザ・シティ』のように、映画そのものがファッションショーみたいに洋服もメイクも変わっていって、セットもポップでカラフルな、女の子たちが観るだけでワクワクしたりテンションがあがってしまうような映画にしたいと思っている。だから、洋服はかっこよく着こなしてください」。
もともとモデルとしても活躍していた北川。だが、原作ファンの期待を裏切らないことを一番大切にしたという彼女は、ハードなダイエットもした。「半年以上、ダイエットしていましたね。腕とか足がだんだん細くなっていくのを見て、矢沢あいさんの絵に近づいてきたっていう満足感を覚えました(笑)。そのときは、“パラキス”のことしか考えてない感じで。帰ってからも、これは飲んじゃいけない、食べちゃいけないみたいな。矢沢あいさんの絵を見ながら、私はこの体型になるんだ!って。その時の私を知る友人には殺伐としていたと言われましたけど(笑)」。
紫の内面については「17歳の頃の自分に似ている」と感じたそう。「共感するところがたくさんあって。一生懸命、受験勉強をしているのにうまくいかなくてイライラして周囲にあたったり。あの頃の年代って、自我が芽生えてきているのに、先生や親の言うことを聞かなければいけない立場で、すごくアンバランスになっている。私もそうでした」。
そして公開を待つ観客に次のようなメッセージを送った。「ジョージの言う“自分の可能性を信じなくちゃなにも変わらない”っていうセリフが一番好きなんです。やっぱり自分ぐらいは自分のことを信じてあげないとダメだなと、私自身、いつも思っているので。この作品を観て、みなさんにもそう感じてもらえたら嬉しいです」。(取材・文:望月ふみ)
「パラダイス・キス」は6月4日より丸の内ルーブル他にて全国ロードショー。